
3週間続く膝と腰の鈍い痛み、どこで相談すればよいか
階段を下りるたびに右膝の内側がうずく、腰も重い。使いすぎなのか、それとも骨の変化なのか。受診先を選び間違えて時間を使ってしまうのは避けたい——そんな声をよく耳にします。痛みの出方としびれの有無を整理すれば、受診先の見当はかなりつきます。この記事では、その判断材料をまとめます。
この記事の要点まとめ
- 動作時の痛みや片側のしびれは整形外科、左右対称のしびれは内科が受診先の目安となります。
- 3週間以上続く痛みや骨の健康が気になる際は、骨密度測定など詳しい検査の検討が役立ちます。
- 排尿障害や足の脱力、他部位の激しい痛みが重なる場合は、速やかな医療機関への相談が望まれます。
その痛みは整形外科?内科?症状で見分ける判断基準
骨・関節・筋肉・靭帯といった運動器のトラブルは整形外科が担当します1。一方、全身の炎症や代謝の問題が背景にある場合は内科が窓口になることもあります。両者の分かれ目は、いくつかの症状の特徴から絞り込めます。
しびれを伴うかどうかで変わる受診先の目安
しびれは神経が関与しているサインのひとつです。腰から脚にかけて、あるいは太ももの裏からふくらはぎへと帯状に広がるしびれは、腰椎周辺での神経の圧迫が関係している場合があり、整形外科での評価が向きます1。対して、手足の先が左右対称にじんじんする、靴下を履いたような感覚が続くといった出方は、代謝や神経系の要因を含めて内科での確認が検討されます。しびれの「広がり方」が、まず見るべき手がかりになります。
動いたときに痛むか、じっとしていても痛むかの違い
階段の上り下り、立ち上がり、歩き始めなど、特定の動作で痛みが出る場合は、関節への負荷が関与している可能性が考えられます。変形性膝関節症では歩行時の膝への力のかかり方と痛みの関連が報告されており、動作との結びつきは重要な情報です2。一方、横になって安静にしていても痛む、夜間に痛みで目が覚めるといった安静時痛が続くときは、運動器以外の要因も含めた確認が必要になります。
発熱や体重の変化を伴う場合に考えたいこと
関節痛に加えて、微熱が続く、朝の手指のこわばりが1時間以上ある、理由のない体重減少があるといった全身症状が重なる場合、リウマチなどの炎症性疾患や感染が背景にある可能性を考えます1。この場合は整形外科・内科いずれでも初期の評価は可能で、必要に応じて血液検査や他科への紹介が行われます。迷ったときは、症状をまとめて伝えられるかかりつけ医に相談する方法もあります。
3週間続く鈍い痛みと骨密度低下のサインの見分け方

数日で引く痛みと、3週間以上くすぶる痛みでは、考える範囲が変わります。痛みが数週間にわたって続き、改善の兆しが見られない場合は、一度画像検査を含めて確認しておくとよいでしょう。
使いすぎによる痛みと骨の変化に伴う痛みの違い
長時間の立ち仕事や慣れない運動のあとに出た痛みは、誘因がはっきりしており、負荷を減らすと軽くなる傾向があります。これに対し、思い当たるきっかけがないのに鈍い痛みが続く、寝返りや起き上がりで腰に響く、といった出方は、骨や関節そのものの変化が関与している場合があります2。「いつから」「何をした後か」を思い出せるかどうかが、区別の最初の一歩になります。
骨密度測定(DEXA法)でわかること
骨の強度は自覚症状が出にくいまま変化するため、数値での確認が判断材料になります。DEXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)は腰椎と大腿骨頸部の骨密度を測る方法で、同性・若年成人の平均値と比べた割合などで評価されます1。当院では骨密度測定装置(DEXA)と超音波診断装置を備え、痛みの原因を多角的に確認する体制をとっています。検査自体は着衣のまま台に横になるだけで、短時間で終わります。
家族に圧迫骨折の経験がある場合に注意したい変化
親や姉妹に骨粗しょう症や脊椎の圧迫骨折の経験がある方は、ご自身のリスクも気にかけておく価値があります。背中が丸くなってきた、若い頃より身長が2cm以上低くなった、以前より靴の脱ぎ履きで腰が曲げにくい——こうした変化は見過ごされがちです1。高齢期の骨折後は入院や手術に伴う身体的負担が大きくなりうることも知られており3、早い段階で現状を把握しておく意味があります。
しびれの見分け方——内科的な病気が疑われるケース
しびれという言葉には、感覚の鈍さ、ピリピリ感、力の入りにくさなど、性質の異なる症状が混在します。伝え方を分けるだけでも、診察の精度が変わります。
片側だけのしびれと両側にわたるしびれの違い
右脚だけ、左の腰から足先だけ、といった片側性のしびれは、その側の神経の通り道で圧迫が起きている可能性を考えます1。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症では、歩くとしびれが強まり、前かがみで休むと楽になるという出方をすることもあります。一方、両手両足の先が対称的にしびれる場合は、局所の圧迫よりも全身性の要因を想定します。
糖尿病や神経系の病気が関係している場合の特徴
血糖の状態が長く乱れていると、足先から左右対称にしびれや感覚の鈍さが出ることがあります。ビタミンの不足や甲状腺の機能の変化が関与する場合もあり、こうした背景が疑われるときは内科での血液検査が手がかりになります1。「足先から左右対称に」「じわじわ範囲が広がる」しびれは、内科での確認も併せて検討したいタイプです。
生理周期に伴う一時的なしびれとの見分け方
生理の前後に手足の片側がしびれる、むくみと一緒に感覚が鈍くなる、という相談も少なくありません。周期に合わせて現れ、数日で消えるものは、体液量やホルモンの変動が関与している場合があります。判断の分かれ目は、周期と無関係に続くか、同じ部位で繰り返すかという点です2。メモに日付と症状を書き残しておくと、診察時の説明がぐっと楽になります。
救急受診が必要な危険な症状と行動の目安
ほとんどの膝や腰の痛みは、日中の診療時間内の受診で対応できます。ただし、急いだほうがよい症状もいくつかあります。
排尿・排便障害や足の脱力を伴う場合の緊急性
腰痛とともに、尿が出にくい・漏れる、股間やお尻まわりの感覚が鈍い、足に力が入らず立ち上がれないといった症状がそろう場合、脊髄の下端にある馬尾という神経の束が強く圧迫されている可能性があります1。この組み合わせは時間的な余裕が少ないとされており、様子を見ずに早急な受診が推奨されます。
頭痛・胸痛・腹痛など他部位の激痛が重なる場合
背中や腰の痛みに、これまで経験したことのない激しい胸の痛み、冷や汗、息苦しさが重なる場合は循環器内科、突然の激しい頭痛やろれつの回りにくさを伴う場合は脳神経外科の領域が想定されます。腹部の激痛と嘔吐が続くときは消化器の評価が必要になることもあります4。運動器の痛みだと思っても、症状の組み合わせ次第では判断の軸が変わります。
夜間・休日に痛みが急に強まったときの対応
判断に迷ったときの目安として、意識がはっきりしない、呼吸が苦しい、まったく動けないといった状況なら救急要請を検討します。そこまでではないが不安、という段階では、救急安心センター事業の#7119(実施地域あり)や、地域の休日夜間の相談窓口に電話し、翌朝の受診でよいかを確認する方法があります。無理に痛みを押して移動するより、まず相談したほうが結果的に早く済むこともあります。
熊本市で受診先に迷ったときの相談先と検査の流れ

仕事と家族の通院付き添いの合間に、自分の受診時間をひねり出す。そんな状況では「一度で話が前に進む受診」が現実的な目標になります。
熊本市内で整形外科と内科を使い分けるための目安
膝・腰の痛みが動作と結びついている、片側のしびれを伴う、外傷のきっかけがある——このいずれかに当てはまるなら、まず整形外科での評価が考えやすい流れです1。発熱や体重減少、左右対称の手足のしびれが前面に出ているなら内科が窓口になります。判断がつかないときは、症状を書き出して整形外科で相談し、必要に応じて紹介を受ける形でも構いません。
初診で伝えたい痛みの記録方法
診察前に、次の4点をメモしておくと話が早く進みます。
- いつから:日付と、きっかけの有無
- どこが:膝の内側・外側、腰の中央・片側など
- どんなときに:階段、立ち上がり、夜間、安静時
- どのくらい:いちばん痛いときを10として今は何点か
服薬中の薬や、ご家族の骨折歴も併せて伝えると、検査の組み立てに役立ちます。
骨密度測定や超音波検査を受けられる医院の選び方
レントゲンに加えて骨密度測定(DEXA)や超音波診断装置があると、その日のうちに確認できる範囲が広がります。MRIは必要と判断された場合に検討されるもので、初診で必ず行うわけではありません。生活動線のなかで通いやすい場所かどうかも、継続を考えるうえで見ておきたい点です。なお、自由診療(公的医療保険が適用されない)の治療を検討する場合、費用は医療機関により幅があり、ここで触れる金額はいずれも一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関により異なります。自由診療には内出血や一時的な痛みの増強などのリスクも伴うため、事前の説明を受けたうえで判断してください。
よくある質問
Q1. 膝や腰の痛みは、どの科にかかるのがよいですか?
A. 動作に伴う痛み、関節の腫れ、外傷のきっかけがある場合は、骨・関節・筋肉を扱う整形外科が窓口になりやすいです。発熱や体重減少など全身の症状が目立つときは内科での評価が検討されます。
Q2. 受診したほうがよいか判断できないときはどうすればよいですか?
A. 目安として、2〜3週間以上続く、夜間に痛みで目が覚める、しびれや脱力を伴う、日常動作に支障が出ている、のいずれかがあれば一度相談を検討してください。夜間・休日で迷う場合は#7119などの電話相談窓口を利用する方法もあります。
Q3. モートン病かどうかを確かめる方法はありますか?
A. 足の指の付け根付近のしびれや、ハイヒールで悪化する痛みが特徴とされます。自己判断は難しく、整形外科での触診や超音波検査などを組み合わせて評価します。
Q4. 整形外科と神経内科のどちらがよいですか?
A. 腰や首から続く片側のしびれ、姿勢で変化する症状は整形外科の領域になりやすく、左右対称のしびれやふるえ、歩きにくさなど神経全般の症状が主体なら神経内科が想定されます。まず整形外科で相談し、必要に応じて紹介を受ける流れも一般的です。
Q5. 神経ブロック注射の費用相場はどのくらいですか?
A. 保険診療の範囲で行われる場合、3割負担で1回あたり数百円〜数千円程度が一般的な目安とされます。入院を伴う手技や自由診療では金額が変わります。これらは一般的な相場であり当院の費用ではなく、実際の費用は医療機関や手技の内容により異なります。
Q6. 整形外科と接骨院はどう使い分けますか?
A. レントゲンや血液検査などの医学的検査、診断、投薬を行えるのは医療機関である整形外科です。原因がはっきりしない痛みや、しびれ・発熱を伴う場合は、まず整形外科での確認が向いています。
参考文献
1. 公益社団法人 日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/
2. Hutchison L, Grayson J, Hiller C et al. Relationship Between Knee Biomechanics and Pain in People With Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Arthritis Care & Research. 2023. PMID: 35997473 / DOI: 10.1002/acr.25001
3. Williams-Russo P, Urquhart BL, Sharrock NE et al. Post-operative delirium: predictors and prognosis in elderly orthopedic patients. Journal of the American Geriatrics Society. 1992. PMID: 1634718 / DOI: 10.1111/j.1532-5415.1992.tb01846.x
4. 日本外科学会 https://www.jssoc.or.jp/
平成10年3月 帝京大学 医学部卒業
平成10年5月~平成11年3月 熊本大学医学部附属病院
平成11年4月~平成12年3月 宮崎県立延岡病院
平成12年4月~平成13年6月 熊本中央病院
平成13年7月~平成18年2月 公立玉名中央病院
平成18年3月~平成18年10月 福田外科胃腸科医院
平成18年11月 ふくだ整形外科開業
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会認定スポーツ医
リウマチ財団登録医
日本AKA医学会専門医
身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
難病指定医
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