関節リウマチについて
関節の痛みは
早めにご相談ください
関節リウマチは関節滑膜の病変を中心に生じる慢性の炎症性疾患です。手足をはじめとした全身の関節の腫れや痛みが生じ、関節周囲の症状は特に朝方に強く現れるという特徴があります。
進行すると関節の変形や脱臼が起こり、日常生活や仕事に支障が出る可能性もある疾患です。以前は関節の機能等に障害を生じることが多かったのですが、最近はメトトレキサートや生物学的製剤等を使った治療が広く行われるようになり、治療成績は飛躍的に改善しています。関節リウマチは早期から積極的に治療することで進行を予防できます。関節の疼痛や腫脹が気になる方は早めに受診しましょう。
- 手指や足趾に関節痛や腫れがある
- 手指に動かしにくさがある
- 手にこわばりがある
- 関節があちこち痛い
- 腱鞘炎のような症状が続く
関節リウマチ以外に多い疾患
変形性関節症
古くから加齢に伴う軟骨等の変性に体重や運動による負荷が加わることで生じると考えられていました。最近は骨、軟骨、滑膜等の関節にある組織から産生される炎症性物質が関与すると言われており、遺伝的要因も言われています。荷重関節である膝関節 股関節に発症することも多いのですが、手指に生じた場合は関節リウマチとの鑑別が重要になります。
手指変形性関節症と関節
リウマチの違い
特徴 | 変形性関節症 | 関節リウマチ | |
---|---|---|---|
腫れ方の性状 | 硬い | 柔らかい | |
痛みや腫れ、 変形などの症状 |
第一関節 | 多い (へバーデン結節) |
なし |
第二関節 | あり (ブシャ-ル結節) |
あり | |
指の根元の関節 | まれ | あり |
痛風
結晶性関節炎の一種。関節内に尿酸の結晶が沈着すると、それに対する急性の関節炎として発症する。高尿酸血症が続くことで痛風は起きやすくなりますが、暴飲暴食や激しい運動などをきっかけに発症することも多くあります。足の親指の付け根の痛み 腫れで発症することが多いのですが、足関節周囲 膝関節などにも症状が現れることがあります。高尿酸血症状態が続くと、腎不全につながる恐れもありますので注意が必要です。
偽痛風
痛風同様に結晶性関節炎の一種で、ピロリン酸カルシウムの結晶が原因となります。高齢者によくみられる疾患で、膝 手関節 足関節等の関節に強い痛みと腫れが生じますが、発熱を主訴として医療機関を受診する場合もあります。関節周囲の軟部組織の腫脹 発赤が強い場合は感染症との鑑別が必要になります。また頚部痛で発症する偽痛風もあり(crowned dense syndrome)、高齢者の頚部痛では注意が必要です。
リウマチ性多発筋痛症
50歳以上の方が急に両肩痛や腰背部痛を訴えて受診されます。朝起きようとしたら両肩や背部が痛くて起きられなかった、などと言われます。血液検査では炎症反応が上昇している以外は異常を認めません。少量のステロイド内服で著効するのが特徴です。
治療方法
薬物療法
DMARDsと呼ばれる抗リウマチ薬で治療します。DMARDsには免疫調節薬、免疫用製薬、分子標的薬があります。
現在は関節リウマチと診断がつけば、まず免疫抑制薬であるメトトレキサートが第1選択薬となります。副作用等のためにメトトレキサートが使用できない患者様には他の免疫抑制薬や以前から使用されていた免疫調節薬を処方します。
その上で効果がなければ分子標的薬(注射の生物学的製剤、内服のJAK阻害薬)を使用することになります。いずれも副作用が懸念されますので、定期的な検査が必要となります。
手術療法
薬物療法による効果が期待できない場合は、医師の判断で手術療法を行います。
関節破壊を予防するための滑膜切除術、人工関節に入れ替えることで可動域を広げる人工関節置換術、関節を固定し日常動作をとりやすくする関節固定術など、患者様の症状にあわせて適切な手術を行います。
手術を行う場合は専門の医療機関をご紹介いたします。