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骨粗しょう症の放置は危険?骨折リスクとDEXA検査の受診目安

骨粗しょう症の放置は危険?骨折リスクとDEXA検査の受診目安

痛みがないからこそ気づきにくい「骨の変化」


健診で骨密度の低下を指摘されても、痛みも不自由もないためそのままという方は少なくありません。骨の強度は自覚のないまま少しずつ変わるとされています。この記事では、そのままにした場合に想定される骨折のリスク、整形外科でのDEXA法による骨密度検査の流れと費用の目安、受診を考えたいタイミングを整理します。


この記事の要点まとめ


  • 骨粗しょう症は自覚症状が乏しく、骨折リスクが気づかないまま高まる可能性があるとされています。
  • DEXA法は腰椎や大腿骨を測定し、短時間で受けられる検査として紹介されています。
  • 閉経後や50代以降、健診で指摘を受けた方などは検査を検討する目安とされています。

自覚症状がないまま進行する骨粗しょう症を放置するリスクと将来への影響

自覚症状がないまま進行する骨粗しょう症を放置するリスクと将来への影響

自覚症状がほぼない骨粗しょう症の性質とよくある誤解


「痛くないから骨は大丈夫」。診察室でよく耳にする言葉です。ところが骨粗しょう症は、骨の量や質が下がっても痛みや腫れといったサインを出しにくいとされています1。つまり自覚症状の有無だけでは、骨の強さを判断しにくいと考えられています。


健診で骨密度の低下を指摘された記憶があるなら、そこが一つの出発点。数値の変化は年単位で緩やかに進むとされるため、「去年と同じくらいだろう」という感覚だけに頼らず、一度確認しておく姿勢が望まれます。


大腿骨や脊柱の脆弱性骨折が及ぼす要介護状態や寝たきりへの影響


骨の強度が低下すると、軽い転倒やしりもち程度の負荷でも骨折が起こる場合があります。これが脆弱性骨折と呼ばれるもので、なかでも背骨(脊柱)の圧迫骨折、太もものつけ根にあたる大腿骨近位部の骨折は、日常生活動作(ADL)に関わりやすいと報告されています1


大腿骨近位部の骨折では手術や入院、その後のリハビリテーションを要することが多く、歩行の状態が以前と同じ水準に戻りにくい例も知られています。熊本市周辺でも「知人が転倒してから生活が変わった」というお話を伺う機会は少なくありません。


もう一つ知っておいていただきたいのが、一度骨折を経験した方は次の骨折が起こりやすい状態にあると指摘されている点。50代以降で骨折歴がある場合、部位が違っても備えを考える価値があります。


身長低下や背中の曲がりから確認する姿勢の変化とリスク評価


ご自宅で気づけるポイントもあります。代表的なのは、若い頃の身長との差と姿勢をみる「ワン・ツーチェック」の考え方。壁に背中とかかとをつけて立ち、後頭部が壁につかない、壁と腰のすき間にこぶしが入るほど空く——こうした変化は姿勢の変わり目を示すサインとされます。


このほか、年齢と体重から目安をみるFOSTA、複数の要因から骨折の可能性を推計するFRAXといった評価ツールも知られています。ただしセルフチェックは受診を考えるきっかけにとどめ、実際の状態は骨密度検査で確認する流れが基本とお考えください。


整形外科で行うDEXA(デキサ)法による骨密度検査の特徴と費用感


DEXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)と他の測定方法の違い


骨密度の測り方は一通りではありません。かかとやすねに超音波をあてる超音波法(QUS法)、手の骨をX線撮影して評価するMD法などは、検診会場でも取り入れられている簡便な方式です。


これに対しDEXA法(DXA法/二重エネルギーX線吸収測定法)は、骨折が生活へ影響しやすい腰椎と大腿骨を直接測定する方法として、診断や経過の確認に広く用いられています1。結果はYAM値(若年成人平均値)に対する割合や標準偏差(SD)で示され、骨粗しょう症の診断基準ではYAM値の70%以下、あるいは-2.5SD以下が一つの区切りとして扱われます。


当院では骨密度測定装置(DEXA)を備え、必要に応じて超音波診断装置も併用しながら、患者様の状態に合わせた評価を行っています。


検査の具体的な手順・所要時間・服装・測定時の不快感の有無


初めての方が気にされるのは「痛みはあるのか」という点でしょう。DEXA法は測定台に仰向けで横になっていただく検査で、針を使うこともなく、身体への負担は少ないとされています。


測定そのものは片側の部位で数分程度、両部位を測っても着替えを含めて10〜15分程度が一般的な目安。金属のついた衣類やベルト、ボタンの多い服は測定に影響する場合があるため、ゆったりした服装でお越しいただくとスムーズです。X線を用いますので、妊娠の可能性があるときは事前にお申し出ください。


検査後はその日のうちに数値をご覧いただきながら、今後の見通しをご説明する流れになります。


骨密度検査にかかる費用相場(保険適用時の自己負担額と自治体検診)


症状や既往から骨粗しょう症が疑われ、保険診療として実施する場合は3割負担で数百円〜千数百円程度が目安です(1割負担の方はさらに少額)。初診料や再診料、必要に応じたX線撮影や血液検査が加われば総額は変わります。


自治体が行う骨粗しょう症検診の対象年齢にあたる方は、無料〜千円程度で受けられる仕組みが用意されていることも。熊本市にお住まいなら、お手元の検診案内で対象年齢と実施方法をご確認ください。検診で気になる結果が出た際は、医療機関で詳しく調べる流れが一般的です。


骨密度検査を受けるべきタイミングと整形外科受診の判断基準


閉経後の女性や50代以上の方が定期検査を始めるべき理由


女性は閉経の前後で女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が大きく変わり、骨の代謝バランスも動きやすくなるとされています1。そのため閉経を迎えた方や50代以降の女性は、症状がなくても一度骨密度を測っておくという考え方が広く紹介されています。


また、骨の量は若い時期の蓄えが土台になるといわれます。極端な食事制限や運動不足が続いた経験のある若い世代でも、将来を見据えた生活の見直しには意味があります。年代を問わず、早めに現状を知ることが選択肢を広げてくれます。


過去の健康診断で指摘を受けた方や家族歴がある場合の受診基準


次のような項目に当てはまる方は、整形外科でご相談いただきたいタイミングです。


  • 健診で骨密度低下を指摘された経験があるが、その後測っていない
  • 若い頃より身長が2cm以上低くなった、背中が丸くなってきた
  • 血縁のご家族に大腿骨のつけ根や背骨の骨折をした方がいる
  • 軽い転倒やしりもちで骨折したことがある
  • ステロイド薬の長期使用、極端なやせ、喫煙・多量の飲酒の習慣がある

とくに家族歴はご本人の体質と関わることが知られており、症状がなくても確認しておく価値があります。


検査後の継続的なフォロー体制と患者様一人ひとりに合わせた取り組み


検査は「測って終わり」ではありません。数値と骨折歴、生活背景を合わせて評価し、必要に応じて食事(カルシウム・ビタミンD・タンパク質)の見直し、転倒しにくい身体づくりを意識した運動、薬物療法といった選択肢を組み合わせて検討していきます1。骨の変化は緩やかとされますから、一定の間隔で測り直し、経過を追う視点も欠かせません。


当院は明細書を無償で交付し、内容をご確認いただける体制を整えています。膝や腰の痛みで身体を動かしづらい方には、リハビリテーションや当院が力を入れているクーリーフ治療も含め、患者様一人ひとりの状況に合わせてご相談を重ねていきます。熊本市に隣接する益城町という立地ですので、通いやすさもふまえた計画をご提案します。


よくある質問


Q. コーヒーは骨を弱くするのでしょうか?


A. カフェインにはカルシウムの排泄をやや増やす働きが指摘されていますが、常識的な量であれば過度に気にする必要はないと考えられています。1日に何杯も飲む習慣がある方は、乳製品や小魚などでカルシウムを補う意識を持つとバランスが取りやすくなります。


Q. 何が不足すると骨がもろくなりやすいのですか?


A. カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質などが関わるとされています。日光を浴びる機会や運動量の不足も骨の状態に影響すると指摘されています。特定の栄養素だけを増やすより、食事内容と生活習慣を合わせて見直す視点が大切です。


Q. 骨に良いフルーツはありますか?


A. キウイやみかん、プルーンなど、ビタミンCやカリウム、ビタミンKを含む果物は食事全体のバランスを整えるうえで役立つと考えられています。ただし果物だけで骨の状態が変わるわけではないため、主菜や乳製品と組み合わせてお考えください。


Q. 人間の骨で最も強いのはどこですか?


A. 一般には、体重を支える大腿骨(太ももの骨)が丈夫といわれます。その大腿骨のつけ根が軽い転倒で折れることもあるという点が、骨粗しょう症で注意したいポイントです。


Q. 骨密度検査は保険適用になりますか?


A. 症状や既往、リスク要因から骨粗しょう症が疑われる場合は、保険診療として実施できるケースがあります。現行の制度では自己負担割合によって金額が異なりますので、受診時にお尋ねください。


参考文献


1. 公益社団法人 日本整形外科学会「骨・関節・脊椎疾患に関する情報」 https://www.joa.or.jp/


福田朋博

医師


ふくだ整形外科

院長

福田朋博

▶ 監修者プロフィール

経歴
熊本県立熊本高等学校卒業
平成10年3月 帝京大学 医学部卒業
平成10年5月~平成11年3月 熊本大学医学部附属病院
平成11年4月~平成12年3月 宮崎県立延岡病院
平成12年4月~平成13年6月 熊本中央病院
平成13年7月~平成18年2月 公立玉名中央病院
平成18年3月~平成18年10月 福田外科胃腸科医院
平成18年11月 ふくだ整形外科開業
資格・所属学会
日本整形外科学会専門医(日本専門医機構)
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会認定スポーツ医
リウマチ財団登録医
日本AKA医学会専門医
身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
難病指定医