交通事故やスポーツ中の事故など、強い衝撃を受けることで生じる「むち打ち」。

「首の痛み」が主なイメージのむち打ちですが、他にもさまざまな症状が出ることをご存じでしょうか？

この記事では、むち打ちで生じる痛み以外の症状やその原因、治療法などを解説いたします。

■痛み以外も生じる「むち打ち」とは

むち打ちとは、激しい転倒やスポーツでの接触、交通事故などによって生じる強い衝撃が原因で起こる首のケガです。

衝撃を受けたことで首がムチのようにしなり、筋肉や骨、神経などが損傷することで生じます。

むち打ちでは「痛み」を訴える方がほとんどですが、その他にもさまざまな症状が出現することがあります。

症状に合わせて適切な治療を行い、日常生活への早期復帰や後遺症の予防を図ることが大切です。

■むち打ちの症状と原因

むち打ちでは、痛みだけでなくさまざまな症状が生じます。

むち打ちで生じる痛み以外の症状は以下です。

・筋肉の張りや凝り

・腕や手のしびれ、麻痺

・自律神経症状（バレ・リュー症候群）

・不眠症や睡眠障害

・うつ病や気分の落ち込み

痛み以外の症状は、むち打ちによって障害された場所やその程度によってさまざまです。

それぞれの症状や原因について見ていきましょう。

◎筋肉の凝りや張り

むち打ちで筋肉や軟部組織を損傷すると、首や肩・背中などの筋肉の張りや凝りが出現する可能性があります。

首が勢いよく動かされることで、筋肉や靭帯などのやわらかい組織が損傷し、凝りや張りが発生するのです。

また、自律神経が損傷して血行が悪くなり、末端の筋肉の凝りや張りが出る可能性もあります。

◎しびれや麻痺

首の脊髄から出る「神経根」は、腕や手の運動と感覚を制御しています。

そのため、むち打ちで首の神経根や周辺の組織がダメージを受けると、腕のしびれや違和感、動かしにくさや麻痺が生じてしまうのです。

むち打ちの受傷後は、神経やその周囲に影響が出ていないかを詳しく検査し、しびれや麻痺が生じている原因を突き止める必要があります。

◎バレ・リュー症候群

バレ・リュー症候群とは、首のケガによって生じる「自律神経失調症」の総称です。

バレ・リュー症候群では、以下のような自律神経症状が出現します。

・めまい

・ふらつき

・耳鳴り

・吐き気

・目のかすみ　など

自立神経失調症になると血流を調節できなくなり、脳に血が巡らなくなるために、めまいやふらつき・吐き気などが生じます 。

酷くなると日常生活に大きな影響を及ぼすため、早めに治療を開始し対処しなければいけません。

◎不眠症や睡眠障害

自立神経の働きが悪くなることや、痛み・凝りなどの症状が原因となり、寝つきの悪さや不眠症などの睡眠障害に陥ることもあります。

寝不足に陥ると自立神経の調節がさらに困難となり、不眠症の悪化や他の自立神経症状の原因にもなりかねません。

日中の眠気や集中力の低下により、仕事や勉強、家事などにも影響が出てしまうため注意が必要です。

◎うつ病や気分の落ち込み

むち打ちによる痛みやしびれが長引くと、気分が落ち込んでしまい「うつ病」になってしまうこともあります。

うつ病に陥った場合、何をするにも億劫になってしまったり、将来の希望が見えず不安になったりすることがあり、日常生活に支障が出る方も少なくありません。

早期治療や症状の緩和により、うつ病にならないように心掛けることが大切です。

■むち打ちの検査と診断方法

むち打ちはひとそれぞれ障害される場所や症状が異なるため、検査と診断を適切に実施することが大切です。

むち打ちに対し、整形外科では以下のような検査を実施します。

・問診

・触診や視診

・画像診断（レントゲンやCT・MRIなど）

・超音波検査

・神経伝導検査

・筋電図検査　など

特に、画像診断や神経伝導検査など、目に見えない内部の検査は重要です。

骨や靭帯の状態、神経の障害の有無などを詳しく検査し、痛み以外の症状が出ている原因を突き止めなければ、適切な治療は行えません。

問診や通院時の経過報告時に、医師へ症状について細かく相談し、必要な検査を受けましょう。

■むち打ちの治療法

むち打ちの治療方法は以下のようなものがあります。

・装具療法

・物理療法（電気療法・温熱療法・牽引療法など）

・ハイドロリリース

・リハビリテーション

・薬による症状のコントロール

むち打ちの治療の基本は安静です。

必要に応じて頚椎カラーを使用し、首の安定性を高めて安静期間を設けることで、受傷直後の損傷や炎症を治療します。

また、凝り固まった筋肉や軟部組織に対し、物理療法やリハビリテーションによって治療を行なうことも大切です。

ふくだ整形外科では「ハイドロリリース」を使用し、むち打ち後に強張った筋肉や筋膜をほぐす治療も行なえます。

痛み止めや自立神経の症状を抑える治療を行いながら、痛みやしびれなどの治療を行っていくと良いでしょう。

【むち打ちの際は早めに整形外科を受診しましょう】

むち打ちを治療するには、適切な診断と早期の治療開始が重要です。

治療が遅れたり、症状の原因を的確に捉えられていなければ、後遺症が残る可能性もあります。

むち打ちの症状にお悩みの方は、ぜひ「ふくだ整形外科」へご相談ください。

患者様一人ひとりの症状を的確に検査・診断し、早期治癒を目指した治療を提供いたします。