頚椎症
首や肩の痛みや上肢の痛み・しびれが生じたりします。悪化するとボタンがかけづらい、箸が使いづらいといった 症状や足のもつれ・歩行障害が出ることもあります。頚椎の脊柱管の中の脊髄が圧迫されて発症する頚椎症性脊髄症と、脊髄から腕に伸びていく神経根が圧迫・刺激されて発症する頚椎症性神経根症があり、これらが合併することもあります。
頚椎椎間板ヘルニア
肩甲骨周辺の痛みや、肩から腕・手にかけて痛みやしびれが生じます。痛みの程度は軽いものから耐えられないものまでさまざまです。加齢による椎間板の変性が原因です。椎間板は背骨をつなぐクッションの役割があり、加齢によって後方に飛び出すことがあります。誘因なく発症するケースもあれば、姿勢やスポーツによって引き起こされることもあります。飛び出す場所により、神経根か脊髄、または両方を圧迫します。
ストレートネック
慢性的に首や肩に痛み、凝りが生じるほか、頭痛や手のしびれ、めまい、吐き気などが引き起こされます。本来なら30~40度前方へ弯曲している首の骨がまっすぐになっている状態です。デスクワークやスマホの見過ぎなど、長時間の同じ姿勢によって症状が悪化しやすいです。
胸郭出口症候群
腕神経叢や鎖骨下動脈といった神経・血管が鎖骨周辺で圧迫されたり下方へ牽引されることが原因です。腕を挙げる動作、デスクワーク等での猫背な姿勢、重いものを抱えたりすることで症状が生じたりします。肩や肩甲骨の周辺に痛み・凝りが生じたり、上肢に痛みやしびれを感じることもあります。他にも上肢の感覚障害、握力低下のような運動麻痺を認めることもあります。
肩こり
首すじや首のつけ根から肩や背中にかけ、凝りや張り、痛みを感じます。頭痛や吐き気を伴うケースもあります。首や背中が緊張する姿勢の作業や長時間の同じ姿勢、猫背・前かがみなどが原因です。このほか運動不足やストレス、ショルダーバッグ、冷房などが原因で肩こりを発症することもあります。
寝違え
目が覚めたとき、首の後ろや首から肩にかけて痛みが生じます。首を動かして痛むときもあれば、首を動かせないほどの痛みのときもあります。正確な原因は不明ですが、睡眠中の不自然な姿勢で一部の筋肉に血液の供給が不足してしこりになっていたり、前日のスポーツや作業で一部の筋肉がけいれんしている状態、頚椎の後ろにある椎間関節の関節包に炎症が起こっている状態などが考えられます。
肩関節周囲炎
関節を構成する骨や軟骨、靭帯、腱の老化によって、肩関節の周辺にある組織に炎症が起きて発症します。肩関節に痛みが生じ、関節の動きが悪くなります。動かすときの痛みのほか、夜中に眠れないほどの痛みが出ることもあります。関節を動きやすくする役割がある肩峰下滑液包と関節を包む関節包が癒着すると、動きがさらに悪くなります。自然経過で治癒することもありますが、肩関節の運動障害が残ることもあり医療機関で経過を見ていく必要があります。
石灰沈着性腱板炎
肩関節腱板内にカルシウム塩が沈着し炎症・疼痛・可動域制限が生じます。40~50代の女性に多くみられ、急性型・亜急性型・慢性型・拘縮型に分類されますが、急性型では突然に肩関節の激痛が生じ、しばしば夜間に発症します。原因はいまだに不明です。多くは注射・内服等の保存療法で改善しますが、慢性型や拘縮が強い症例では外科的に石灰沈着物質を除去することもあります。
腱板断裂
上腕骨頭を取り囲む4つの筋肉の腱が腱板です。肩の打撲や転倒して手をついたりといった外傷で生じることもありますが、明らかな誘因なく加齢に伴う腱の変性や肩峰下インピンジメント(骨と骨の間での腱の圧迫)が原因で生じることも多く認めます。肩の運動時痛や挙上困難などの運動障害、夜間痛などの症状を生じる方がいる一方、無症状の方もいます。40歳以上の方に生じやすく、発症年齢のピークは60歳代です。