骨粗しょう症について
骨が脆くなり
骨折につながる
疾患です
骨粗しょう症は、骨量の低下や骨組織の微細構造の異常によって骨が脆くなり骨折しやすくなる疾患です。閉経や加齢に伴って生じる原発性骨粗鬆症、原因となる疾患・薬物等が存在する続発性骨粗鬆の2種類があります。その多くは原発性であり、骨折するまで自覚症状が現れることはほとんどありません。
脊椎や大腿骨などの骨折を起こすと、認知症や寝たきりが進行し日常生活にも大きな支障を与えます。
日頃から骨を強くしておくことが大切です。
- 背中や腰が痛む
- 身長が縮んだ
- 歩行が不安定で転倒が多い
- 閉経が早かった
- 骨折の既往がある
検査を受けたほうがいい方
- 50歳以上の方
-
閉経後や
生理不順が
あった方 -
手首や背骨の
骨折を
起こした
ことがある方
よくあるご質問
また、骨折の既往がある方や腰痛がひどい方の場合はレントゲンで骨折の有無をチェックします。必要であれば血液検査にて骨の代謝を検査することもあります。
また、運動器の障害を起こす変形性関節症や変形性脊椎症などの疾患、骨折を伴う骨粗しょう症をしっかりと治療することも大切です。
検査・治療について
DEXA法による骨粗しょう症
検査を行っています
当院では日本骨粗鬆症学会が推奨する腰椎と大腿骨のDEXA法による正確な骨粗しょう症検査を行っています。
X線を少し当てることで骨密度を正確に測定することができます。
当院の治療
薬物療法
骨粗しょう症は、カルシウムやビタミンなどの栄養素が補給できる薬による治療が中心となります。
種類
カルシウム製剤
カルシウム製剤単独での骨折抑制効果は弱く、カルシウムは食事から摂取する事が基本です。但し食事からのカルシウム摂取不足やビタミンD欠乏が存在する場合には補充療法を検討します。
活性型ビタミンD製剤
医療機関では、市販されている天然型ビタミンD製剤より効果の高い活性型ビタミンD製剤を処方します。ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収増加等の作用で骨折の予防が期待されます。ビタミンD製剤は他薬剤との併用で処方されることも多くなっています。
SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
エストロゲン(女性ホルモン)の受容体に作用してエストロゲンと同様の骨吸収抑制効果で骨折を抑制します。閉経後比較的早期の女性に高い効果が期待できますが、ビスホスホネート製剤が使えない高齢の女性にも処方されます。乳がんや心血管疾患の予防効果もあります。
ビスホスホネート製剤
骨吸収を強力に抑制することで骨密度が増加し、骨折を抑制します。骨折のリスクが高い高齢者の骨粗しょう症治療で第1選択となる薬剤です。内服で処方されることが多くなっていますが、内服で効果が低い場合や内服困難な方では注射剤が選択されます。副作用として最大0.1%の頻度で顎骨壊死が指摘されており、歯科との連携も大事です。
デノスマブ
6ヵ月に1回の皮下注射で投与します。強力に骨吸収を抑制して持続的な骨密度の上昇が得られ、脊椎圧迫骨折のみならず大腿骨の骨折も抑制します。ビスホスホネート製剤で効果のない方や長期にビスホスホネート製剤を使用している高リスクの方で使用する事が多いです。
テリパラチド
副甲状腺ホルモンの活性を有する皮下注射製剤です。骨形成促進作用を持ち強力に骨量を増加させ骨折を抑制します。毎日の自己注射、週2回の自己注射、週1回の通院での注射という3剤の選択肢があります。製剤により使用期間が18~24ヵ月と制限されているため、終了後も骨折のリスクが高い方はビスホスホネート製剤やデノスマブで治療を継続することが推奨されます。
ロモソズマブ
1ヵ月に1回を目安に行う皮下注射製剤です。一過性の強力な骨形成促進作用と持続的な骨吸収抑制作用により著名な骨密度上昇と骨折抑制効果が認められています。骨形成促進作用が一過性であることから使用期間は12ヵ月に制限されており、使用終了後はビスホスホネート製剤やデノスマブで治療を継続する必要があります。比較的新しい薬剤ですが、重症な骨粗しょう症への有効な治療薬となっています。
食事療法
低体重や肥満は骨粗鬆症のリスクとなります。適正な体重を維持し、1日3食のバランスの良い食事の摂取が基本となります。そのうえでカルシウムの摂取に留意しましょう。乳製品、大豆製品、青物野菜、海藻類、小魚を積極的に食事に取り入れて下さい。またビタミンDも骨粗しょう症予防のために食事からとれる大事な栄養素です。秋刀魚 太刀魚などの魚、干しシイタケ等のキノコ喉から摂取できます。
運動療法
骨に適度な負荷を加えることは骨強度を増し、骨粗しょう症の予防に役立ちます。それだけではなく、ウォーキングなどの運動を行えば運動機能が向上し転倒による骨折予防にも寄与します。ロコモ予防もかねての運動指導を当院では行っています。
ロコモティブ
シンドロームについて
運動器の障害は
要支援・要介護状態に
つながります
ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害によって移動機能が低下している状態のことです。立ったり歩いたりすることが大きな負担となり、15分以上の歩行が困難、階段の昇降に手すりが必要、片足立ちで靴下が履けないなどの症状が当てはまります。
平均寿命は延びても健康寿命が延びなければ充実した生活は送れません。いつまでも元気に健康な生活を送るためにも、しっかりとロコモ予防を意識するようにしましょう。
- 歩く速度が遅くなった
- 長く歩けない
- つまずいたり
転んだりしやすい - 関節痛のために歩行に支障がある
- 腰痛や下肢のしびれで歩行に支障がある
7つの項目で分かる
ロコモチェック
項目0を目指して一緒にトレーニングを行いましょう。
-
1片足立ちで靴下が履けない
-
2家の中でつまずいたり
すべったりする -
3階段を上るのに手すりが必要である
-
4家のやや重い仕事が困難である
-
52kg程度の買い物をして持ち帰るのがつらい
-
615分くらい続けて歩くことができない
-
7横断歩道を青信号で渡りきれない